三重・津の街から羽ばたいてくる、好奇心旺盛な小冊子『kalas』。
最新号の特集タイトルは「失うを手に入れる」。
毎度見事なレトリックですが、今回も巧みなキャッチです。
ギャラリーオーナー、書家、学芸員、
ハープ奏者とその母親、また別のギャラリーオーナー、と、
当て所なく芸術が湧く地を巡り歩く中で、
「失うことも得てることのうち」という言葉に出会う著者。
今号も最近の数号と同様、小説仕立てのスタイルですが、
章ごとに語り手の視点が、著者、登場人物、また著者というように、
不規則に切り替わることで、さらに物語調が深まりました。
内容と合わせて、文章の綾も、ぜひご堪能ください。