きのう 1.7[木]、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県を対象に、二度目の緊急事態宣言が発令されました。対象外とはいえ、長野県でも連日、新規感染者数の過去最多が更新されていて、全国的に感染が急速に広がっていることを実感せざるを得ません。そして〈栞日〉がある松本市も、夏以降ほとんど確認されてこなかった感染の拡大が、この年末年始を境に急加速していて、この数日間は県内屈指の新規感染者数を記録しています。(はじめから、ずっとそうでしたが)もはや対岸の火事ではありません。県が独自に定めている六段階の「感染警戒レベル」も、松本市を対象に「レベル5」に引き上げられることが検討されています。

あす 1.9[土]から始まる三連休を前に、以下〈栞日〉の営業方針をお知らせします。とはいえ、その基本軸は、春からまるで変わっていません。八月の盆明けに、地理的な来店制限を解除していますが、一人ひとりの良識を信じ、この「無制限」は、継続します。なお、当時の判断については、そのときの記事「街の幸福」をご覧ください。


基本方針

栞日が営む各事業所への来訪は、長野県が発表している感染警戒レベルと移動や行動に関する注意事項を確認の上、それぞれの良識と照らし合わせて、くれぐれも慎重に検討なさってください。

運営方針 = 2021.1.9[土]以降(無期限)


▼ 書店兼喫茶〈栞日STORE〉|通常営業[7:00-20:00 / 水曜定休]
▼ 宿〈栞日INN〉|休業(無期限)
▼ ギャラリー〈栞日分室〉|企画展の開催期間のみ開場(次回の企画展は未定)
▼ 銭湯〈菊の湯〉|通常営業[14:00-23:00 / 日曜朝風呂 7:00-23:00 / 水曜定休]


〈栞日STORE〉および〈菊の湯〉へのお出かけをご検討のみなさま

〈栞日STORE〉および〈菊の湯〉は、この状況であっても(だからこそ)、喫茶あるいは本屋、そして銭湯という(いわばこの時代における「不要不急」な)場で、それぞれの時間を確保することが、自らの心身の健康を保つために欠かせない誰かがこの街や地域にも居て、その一人ひとりが「逃げ込んで呼吸を整えるシェルター」になる役割が、まだ残っている、ということを信じて、通常営業を続けています。いまのご自身の生活において、〈栞日STORE〉あるいは〈菊の湯〉という空間で過ごす時間が(ご自身の心身にとって)必要なときに限り、お出かけいただけましたら、幸いです。

※ とりわけ喫茶の店内利用に関しては、できる限りおひとりさま、多くともおふたりさまで、お願いいたします。


武漢での初検出からは既に一年を超え、クルーズ船での集団感染を皮切りに日本国内での感染が広がり出してからも、もうすぐ一年が経とうとしています。丸一年、この異常事態。「ニュー・ノーマル」とは言い得て妙なり、とうっかり感心してしまうけれど、「異常」が「平常」であるこの状況は、やっぱり「異常」だと思います。人間の心身にとって、ストレスフルでないはずがない。一年という月日は、決して短くない時間です。しかも、このトンネルの出口からそのうち差し込むはずの光は、まだまったく見えてこない。さらに、首相が変わったところで、何ひとつ変わらないこの国の中枢には(もはや遥か以前に見切りをつけていますが)、ほとほと呆れるばかり。不信が募る一方です。長い。長すぎる。さすがに苦しい。息が詰まる。この暗澹たる日々に対して、気持ちが折れそうになることが、僕にも間間あります。そして、でも、その度に、僕の心を支えてくれる、お守りのような言葉があります。

「正気を保って、やっていきましょう」

これは、信州大の准教授で映像人類学者の分藤大翼さんが、いつものように〈栞日〉に珈琲豆と焼菓子を求めに自転車でやってきたある日、会計のときカウンター越しに僕と交わすいつもの短い会話を終えて、帰り際に残していったひとこと。政府の「Go To キャンペーン」が現場の混乱を招いている、という新聞記事について、僕がボヤいたときのことだった、と記憶しています。「文化人類学者は、こういう状況には強いんです」分藤さんはそう云って微かに笑いました。そう、いま信じることができるのは、一人ひとりの良識のみ。そして、その良識を健全に駆動させるための、そのひと本来の「正気」こそが、失ってはならない最後の砦なのでしょう。まだ、先は長そうです。でも、決して腐ることなく、「正気を保って、やっていきましょう」。

代表 / 菊地徹