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この春、もうひとつの栞日をはじめます。
これからの日用品を考えるための「分室」です。

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女鳥羽川の流れをすぐそばに感じる〈善哉酒造 – よいかなしゅぞう – 〉。その隣りにある二階建ての土蔵が、冬のあいだのリノベーションを経て、この四月、〈リスと設計室〉監修のテナントハウス〈List – リスト – 〉として生まれ変わります。

(「List リノベーションプロジェクト」は、〈リスと設計室〉主宰の横山さん、〈古道具 燕 – つばくろ – 〉店主の北谷さん、栞日店主のキクチの三人から成る、松本の空き家プロデュースチーム〈そら屋〉が、企画・運営してきました)

一階には〈古道具 燕〉スタッフで、僕らの盟友、高橋さんが、満を持して〈山山食堂 – さんさんしょくどう – 〉をオープンします。そして〈栞日分室〉は、この二階に入居します。

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ちょっと急な階段を上がった先にある空間は、天井が低く、まるで屋根裏部屋のよう。この場所で栞日は「健やかで真っ当なこれからの日用品」について考える実験を始めます。「日用品」を「日々もちいる品々」と捉え、毎日の暮らしがどんなものたちに囲まれていたら心地よいのか、この場所を訪れる皆さんと一緒に考察するために、毎月ひとつの企画展を用意します。

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〈栞日分室〉は、つまり、月ごとにガラリと商品が入れ替る日用品店。そして、月替りの企画展を開催するギャラリーともいえます。

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僕たちの考える「日用品」には、日常生活にアクセントや句読点を刻んでくれる、例えばオブジェの類いも含まれるので、「ん?これ日用品?」と戸惑う内容も、ときにあるかもしれません。必ずしも、一般に「生活に役立つ」とされている機能的な道具や工芸品だけを対象とするわけではありません。プロダクトも、アートワークも、視野に入れていきます。でもほら、屋根裏部屋って、どこか秘密基地みたいで、実験的な企てを起こすには、おあつらえむきの場所でしょう。

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こけら落としは大型連休。「日用品」を「毎日使用する品もの」と定義付け、僕にあたらしい視座を与えてくれた、横浜の日用品店〈DAILY SUPPLY SSS〉を営むアーティスト〈L PACK.〉のふたりを迎え、「現在民藝館展」で幕開けです。先日届いたフライヤーのコピーに痺れましたよ。「私たちは 世界を変える方法を 現在民藝と呼ぶことにした。」どうぞ、ご期待ください。

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text|toru kikuchi
photo|kokoro kandabayashi