event_180304_01

\ EXHIBITION /
◎ 盆地文庫|松本展

▼ 日程|2018.3.3[土]- 3.18[日]
▽ 休業|3.7 [水]14[水]
▼ 会場|栞日2F企画展示室

\ TALK /
◎ 山形と松本のカルチャー〈点・線・面〉

▼ 日程|2018.3.3[土]19:00-20:30
▼ 会場|栞日1F
▼ 料金|1 drink order [ 予約不要 ]
▼ スピーカー|
▽ 宮本武典(キュレーター)
▽ 三谷龍二(木工デザイナー)
▽ 菊地徹(栞日店主)

今年9月に第3回の開催を迎える「山形ビエンナーレ」。

そのディレクター・宮本武典さんと、山形市のデザイン事務所〈akaoni〉(代表|デザイナー・小板橋基希さん)は、震災以前・以降に東北各地で草の根から積み上げてきたアートディレクションの実践知をより幅広い分野や地域で活かしていくべく、プロジェクトユニット〈kanabou〉を立ち上げました。

同ユニットの初仕事が『盆地文庫』出版。彼らの敬愛する表現者たちが山形の村山盆地で生み出した作品を、収集・記録する本です。書籍化という方法でしか語り継ぐことが困難なアーティストたちの「モノがたり」を、豊富なビジュアルでアーカイブしています。

昨年11月に銀座〈森岡書店〉からスタートした出版記念展・販売会が、今年1月には〈kanabou〉の活動拠点である山形「とんがりビル」に巡回。そして3月、松本〈栞日〉にやって来ます。

event_180303_1

盆地文庫

▼ 掲載作家|
▽ 荒井良二
▽ いしいしんじ
▽ 坂本大三郎
▽ スガノサカエ
▽ ブルーノピーフル

▼ 責任編集|宮本武典
▼ ブックデザイン|小板橋基希

▼ 2017.11.12 発行
▼ 四六判 / 本文352頁 / 全編モノクロ / 布クロス上製本 / 箔押し / 箱入り
▼ 1,000部限定 / エディションナンバー付

▼ 発行|kanabou
▼ 協力|菅野佳子 / 牟田都子 / 志鎌康平 / 根岸功 / halken LLP / 森岡書店
▼ 助成|公益財団法人福武財団(2017年度文化と芸術による地域振興の支援助成)

kanabou

山形県に拠点を置き、地域に根ざす〈自然、暮らし、食、技術〉などの魅力をデザインするクリエイティブチーム〈akaoni〉と、キュレーター・アートプロデューサーの宮本武典によるユニット。現代のアートとデザインの手法で、地域とクリエイターのエンゲージメントを推進し、その芸術的な可能性と社会的役割を創造します。2017年10月から活動をスタートし、ワタナベアニ写真展「Cinema Street」(山形国際ドキュメンタリー映画祭2017)、WOW「POPPO」(まなびあテラス)をプロデュース。同年11月にアートブック『盆地文庫』を出版。現在、山形市のとんがりビルで企画展を手がける他、チェンマイで孤児たちのホームを運営するNPO〈バーンロムサイ〉と絵本プロジェクトが進行中。

◎ 『盆地文庫』刊行によせて

アジアとヨーロッパを放浪したあと、20代の終わりに妻と2人で山形に移住してすぐ、民俗学者の赤坂憲雄さんから「小盆地宇宙」という言葉を教わりました。それは私にとって、ちょっとした解放でした。「世界」に挑戦するのではなく、「中央」に固執するのではなく、「辺境」を流離うのでもなく、この「盆地」を、わたくしの人生における宇宙とし、そのなかで家族を養い、若い人たちに教え、生活と地続きの景色から美術を考えていくのだと。

私には2人の娘がいます。山形で子供を育てていると、山の社や、祭や昔話、老人の手仕事が語りかけてくる教訓や愛を、感じないわけにはいきません。それはどんなに時代が変化しても、明け渡してはならない、想像力のふるさとです。本書はこの村山盆地で、山への独自の感受性によって、この声なき声をとらえた作品たちを記録するものです。

本書の編集過程で、処方箋の裏に描かれた絵を数え、煤だらけの窯にもぐり、原生林を歩きながら、私はこの盆地の底に眠っている「母のようなもの」に近づいていくのを感じていました。あるいは私自身もこのモノがたりの、一つの構成物となっていくような不思議な感動を覚えました。伝承や路傍の碑から呼びかけてくる父や母たち、物語のなかの子供たちと交わるための、通路のようなものが編めたと思います。

宮本武典 / kanabou